【物流改革】コールドチェーンに潜むリスク

コールドチェーンは生鮮食品や薬を冷蔵・冷凍の新鮮な状態で消費者に届けることを目的とした物流方式です。

昨今物流業界のトレンドになっていて、国内大手輸送のヤマトはコールドチェーンを経営戦略の軸に置きグローバル展開を図ることを明言しています。

非常に便利な半面、これらを実運用させる上ではクリアすべき課題や大きなリスクも存在しています。

以下にて現状考えられるリスクをまとめてみました。

1.冷暖房設備のダウン

輸送中に冷暖房設備が壊れたり、ドライバーが冷暖房を入れ忘れたり等、冷暖房設備が壊れる可能性は様々考えられます。

こうした事態に対応できるバックアップ設備があればいいですが、設備がない車両だととても危険です。

2.国毎でインフラ水準が異なる

海外を含めた輸送網を構築する場合は、各国で異なるインフラ水準もリスクです。
インドや東南アジアのインフラ途上国では頻繁に停電が起こりえます。
電源供給が出来ず、冷暖房を維持できなくなると、温度に敏感な配送物はダメージを受けます。

3.輸送ネットワーク構築

近年ドライバー不足やドライバーの高齢化が社会問題となる中で、そもそも輸送会社はドライバーを確保しEnd to Endでもモノを届けられるだけの力があるのかという問題もあります。

特にコールドチェーンの場合は一般貨物との混載が難しく、人材確保含め最適な輸送ネットワークが構築出来なければ輸送コストが高くなり、採算が取れなくなります。

4.人的ミス

荷物に関わる全ての人が丁寧に扱ってくれればいいですが、教育不足や、担当のモラルが低かったりすると、コールドチェーンは成り立ちません。

粗雑な荷物のハンドリング、実務面でのミス、輸送関連の事務処理の遅れが、輸送の遅延や輸送対象物の破損を招くリスクがあります。

5.盗難

世界中で貨物の盗難は問題となっていますが、コールドチェーンも例外ではないでしょう。
高価な食材等を輸送する場合は盗難の対象になるリスクがあります。

(続)解決策

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マースク社がインドを発地とした青唐辛子のコールドチェーンに成功

世界最大の海運会社であるマースク社は、1月15日のプレスリリースで、バラナシ(インド)とジュベル・アリ(アラブ首長国連邦)間における青唐辛子の輸送に成功したと発表しました。今回の試みは、発地から着地までのエンド・ツー・エンド輸送をリードタイム9日間で実現し、同社にとっては初となる成功事例となりました。 マースク社は、インドの農産物輸出を担当する政府機関であるAPEDA(Agricultural and Processed Food Products Export Development Authority)と密に連携し、陸と海を統合させた輸出スキームを構築することに成功。今回の成功事例を今後は他国にも展開し、農産物を中心にバラナシからの海外輸出を増やしていくことを検討しているとのことです。 インド北東部にあるバラナシは、気候や地理的要素に恵まれていて、今回輸送した青唐辛子を含め農業が盛んな地域です。マースク社CEOは、今後バラナシをインドからの農業輸出のハブ拠点として活用し、同地域における農産業の活性化にも貢献したいという考えを示しています。 インド政府機関のAPEDAは、インドの全地域の農業従事者100人を集めたBuyer Seller Meetを2019年に主催。インドからの農産品の輸出推進に関して、農産品輸出者とプロバイダーを繋げるプラットフォームや、今後のインドの農産品輸出に関するポテンシャルについて意見交換を実施。農産品以外にも、フルーツといった他食物の輸出振興についても検討を進めているようです。     人気の記事! ◎外資系物流社員がおすすめする物流書籍7冊 ◎サプライチェーンにおけるレジリエンスとは 何故必要なのか ◎実際に働いて分かった物流担当者におすすめの資格     ブログ管理人について 元々物流会社で勤務してました。今は外コン勤務です。 SCMに携わってもうすぐ10年。自分の学びも含め、世界の物流・サプライチェーンに関する情報収集・発信しています。 よろしくお願いします。 Follow @insight_eagle

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【物流改革】コールドチェーンに潜むリスク(続)

前記事『【物流改革】コールドチェーンに潜むリスク』の続きです。 前記事でコールドチェーンを運用していく上で考えられる様々なリスクを記載したが、現状で考えられる主な解決策についてです。 1.リアルタイムモニタリング コールドチェーンの運用上肝となるのが温度管理です。 もちろん適切な温度帯での管理も大切ですが、冷温設備の管理も行う必要があります。 そこで例えば車両に温度センサーを取り付け、各車両の温度状態をタイムリーに監視することが出来れば、設備の故障に素早く気付くことが可能となります。 その結果、商品へのダメージを未然に防ぐことができ、被害を最小限に抑えることが出来ます。 また車両にGPSを搭載し車両の位置情報が把握できれば、どの車両が、どこで、なぜ、問題を起こしたのか原因の追跡も行えます。 2.ビッグデータの活用 ITデバイスを活用することで輸送に関する様々なデータを蓄積することができます。 これを大量に蓄積したものをビッグデータと言いますが、この輸送ビッグデータを解析して輸送オペレーションを改善することで、より正確なルート設計や、より精緻な配達予定時刻の予測が行えるようにもなります。 その結果、リアルタイムの状況(交通事情や、道路状況等)に合わせた最適なルーティングを組むことが可能となり、より早く目的地にたどり着くことが可能となります。 3.障害対応はスピーディに 万全な対策を整えても、障害や事故は起こってしまうものです。 こうした際に重要となるのが、早急に対策が打つことです。 例えば事故現場の近場を走るトラックを緊急手配するといった対応ができれば、取り返せるかもしれません。 関連するおすすめ記事!! 物流ニュース!!     人気の記事! ◎外資系物流社員がおすすめする物流書籍7冊 ◎サプライチェーンにおけるレジリエンスとは 何故必要なのか ◎実際に働いて分かった物流担当者におすすめの資格     ブログ管理人について 元々物流会社で勤務してました。今は外コン勤務です。 SCMに携わってもうすぐ10年。自分の学びも含め、世界の物流・サプライチェーンに関する情報収集・発信しています。 よろしくお願いします。 Follow @insight_eagle

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