Yum! Brandsはアメリカのケンタッキー州のチェーンレストラン企業です。傘下に、KFC、Pizza Hut、Taco Bellを持ちます。売上の98%がフランチャイズ収入で、2019年末時点で全世界140の国と地域に展開するグローバルファストフード企業です。 本記事では直近近発表されたアニュアルレポートに基づいて、在庫回転率と在庫CAGR(4年間の年平均成長率)を試算し、物流面でのパフォーマンスを評価しました。在庫回転率は自社の物流オペレーションの効率性を、在庫CAGRは企業の物流コントロール力を評価する指標として活用いただければと思います。 在庫回転率 FY19 売上原価 FY19 平均在庫 FY19 在庫回転率 $1,235 M ー M ー FY19:ー 計算式:売上原価 / 平均在庫 (期首+期末÷2) ※2018年及び2019年の在庫は報告がありませんでした。売上のほとんどをフランチャイズ形態で稼ぎますし、ファストフードという企業の業界の特徴条、一時点における在庫はほぼ0に近いと考えられます。2016年及び2017年の在庫は下表をご確認下さい。 在庫成長率(4年CAGR) 項目 FY16 FY17 FY18 FY19 売上高 $6,356 M $5,878 M $5,688 M $5,597 M 在庫 $37 M $13 M ー M ー M FY19:ー ※FY19売上高CAGR:-4.15% 在庫CAGRが売上高CAGRよりも低い数値の場合、売上高の成長に対して在庫の膨張を低く抑えられていう見方ができます。ただ、あまりにもその数値が離れすぎている場合は、逆に在庫切れを起こして売上機会の損失を発生している可能性があり得ます。 逆に在庫CAGRが売上高CAGRを上回っている場合、売上が想定より伸びていないか、在庫を抱え込みすぎている可能性(一概には言えないですが)が考えれます。 総合評価 総合評価 0/10 […]
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デルモンテ社、今月から商品タグを刷新
Del Monte Fresh Produce N.A.(北米フレッシュ・デルモンテ社)は、2020年1月27日、同社のゴールドパイナップルのタグを今月から刷新すると発表しました。 発表によると、パイナップルに貼り付けられるタグは、企業の持続性(sustainability)に関する事実を紹介するもので、全部で6つのパターンが用意されているとのことです。 グローバルで企業の持続性(sustainability)が企業ブランドに与える影響が高まる中で、同社は今回の取組を顧客とのコミュニケーションツールとして重要だと位置付けています。 ◆タグに掲載される6つのパターンの内容 1.ケニヤにある水路は、同国のカバ95匹の生息数の増加に貢献している 2.中米における同社の農業地の周辺において、子供への640のメリット・ベース・スカラーシップという形で教育支援活動に従事 3.1995年以降、同社バナナ園で使われる30,000トンのプラスチックをリサイクルしている 4.約1000種類の生物が、同社のマドリードの山林に生息する 5.2000年にパイナップル用の箱を変更してから、160,000トンの紙の利用を削減した 6.90%以上のパイナップルは、「sustainable farm(持続性ある農地)」として認証を得た場所で育っている 今回の取組は物流が、ただモノを運ぶという機能に加えて、こうしたマーケティング的な付加価値をも提供している事例として参考になります。今後、日本でも展開されるのか楽しみです。 http://www.freshdelmonte.co.jp/
マースク社がインドを発地とした青唐辛子のコールドチェーンに成功
世界最大の海運会社であるマースク社は、1月15日のプレスリリースで、バラナシ(インド)とジュベル・アリ(アラブ首長国連邦)間における青唐辛子の輸送に成功したと発表しました。今回の試みは、発地から着地までのエンド・ツー・エンド輸送をリードタイム9日間で実現し、同社にとっては初となる成功事例となりました。 マースク社は、インドの農産物輸出を担当する政府機関であるAPEDA(Agricultural and Processed Food Products Export Development Authority)と密に連携し、陸と海を統合させた輸出スキームを構築することに成功。今回の成功事例を今後は他国にも展開し、農産物を中心にバラナシからの海外輸出を増やしていくことを検討しているとのことです。 インド北東部にあるバラナシは、気候や地理的要素に恵まれていて、今回輸送した青唐辛子を含め農業が盛んな地域です。マースク社CEOは、今後バラナシをインドからの農業輸出のハブ拠点として活用し、同地域における農産業の活性化にも貢献したいという考えを示しています。 インド政府機関のAPEDAは、インドの全地域の農業従事者100人を集めたBuyer Seller Meetを2019年に主催。インドからの農産品の輸出推進に関して、農産品輸出者とプロバイダーを繋げるプラットフォームや、今後のインドの農産品輸出に関するポテンシャルについて意見交換を実施。農産品以外にも、フルーツといった他食物の輸出振興についても検討を進めているようです。
米国産Appleに対する関税引き上げ
トランプ就任以降米国はTPPからの脱退を発表。 その後もアメリカの輸入関税引き上げは止まらず、グローバル規模での貿易摩擦が加速しています。 そして昨日中国、インド、メキシコがアメリカ産リンゴに対する輸入関税引き上げを検討していると発表がありました。 貿易摩擦はグローバルでの物量の大きな変動要因となりうるので、物流/サプライチェーン企業は動向をウォッチする必要がありそうです。 ◆北米産りんごに対する輸入関税の引き上げ インド50%→80%(1月末から開始が決定) 中国10%→50% メキシコ0%→20% 食品に対する輸入制限は経済停滞のみならず、食品廃棄等にも繋がりうるので倫理上良くないです。 原文 https://www.foodlogistics.com/risk-compliance/news/21039887/apple-industry-hit-hard-by-tariffs ◆北米向け「Apple製品」は無関税 一時期は中国→北米の「Apple製品」対して10%の関税措置も検討していたようですが今回は見送っています。 原文 As expected, Apple largely escapes China tariffs but iPhone could still be hit later 一方トランプは中国からのApple製品の輸入品に対する関税措置をあきらめていないようで、Apple社に対して国内回帰するよう迫っているようなので今後両国の貿易摩擦が悪化すれば、関税措置が取られる可能性もありそうです。
【海外物流】海外小売の自動運転動向
■クローガー社の自動運転の取組み ・クローガーとは アメリカはオハイオ州に本社を置くスーパーマーケットチェーン。 ウォルマートとホームデポと共に大手企業の一角を担う。 ・売上高 1227億ドル(2017年)≒12.5兆円 ※ちなみに日系イオンは約8.2兆円(2017年) ・取組内容/動向 自動運転車のスタートアップであるNuro社で提携して自動運転カーによる無人配達の実証実験を実行。 最大時速40kmのスピードが出せて、商品発送時と配達先到着時にスマホ等で注文者に連絡する。 一方、実証実験中には無人カーがバッテリートラブルにより動かないといった障害が発生したとのこと。 今後は無人カーを手動でコントロールできる有人車が後方を走りながら実証実験を進めていく。 ※完全自走まではまだ時間がかかりそう 2018年12月の記事より引用 ■アップタウングローサリー社の取組み ・アップタウングロサリー社とは アメリカはオクラホマ州に本社を置く地域密着のスーパーマーケット。 ・売上高 未上場企業のため非公開。 ・取組内容/動向 カリフォルニアのスタートアップであるUdelvと提携して自動運転の無人EVバンによる配達を来年(2019年)の6月までに実施することを発表。ちなみにUdelvは総合商社の丸紅が出資を発表しています。 導入初期は人のサポートによるセミ自動運転で開始し、完全無人を目指す。 この企業は州内に最先端のコントロールセンターを作り、車両のモニタリングとコントロールを行うと発表。 ※こちらもまだ実証実験の段階で来年以降本格展開の予定。 2018年9月の記事より引用 ■ウォルマート社の取組 ・ウォルマート社とは アメリカはアーカンソー州に本社を置く世界最大のスーパーマーケット企業。 西友の売却報道がニュースになりました。 ・売上高 56兆円(2017年) 世界の売上規模ランキングで5年連続首位です ・取組内容/動向 アメリカはマイアミ州でフォード社と自動運転スタートアップのWaymoと提携してパイロットプロジェクトを実施したと発表。 ウォルマートとフォード社は自動運転が未来を変える可能性を持っていると信じている一方で、まずは顧客や人々が自動運転とどのように付き合いたいと感じているのかデータを取る必要があると語っています。 ※マーケットインの発想でいいですね。 2018年11月の記事より引用 海外物流はテクノロジーとの掛け合わせで日々進歩していて面白い。 毎日勉強を続けていないといつの間にか世界の潮流から取り残されそう。
【物流改革】DNAバーコード×食品×ブロックチェーン
先日DNAバーコードという技術を聞いた。 野菜や果物といった生物の遺伝子情報をバーコード上に配列させて表現する技術らしい。 英語のサイトだが、下URLのページ下部にあるバーコードのイメージだ。 DNAバーコードのイメージ アメリカのカリフォルニアにあるSafeTracers社が開発したSafeTraceという商品なのだが、既にFDA(アメリカ食品医薬品局)の承認も降りていて、アメリカでは実運用が始まっている。 この技術はDNAバーコードを食に応用させて、食品1つ1つに情報を持たせている。 スーパーに陳列されているリンゴ1個1個にこのバーコードが付けることで、これまではパッケージやパレット単位での情報管理だったのが、1品単位で情報管理が行えるようになる仕組みだ。 現状日本のスーパーや八百屋で売っている野菜は、その産地や流通経路といった情報を知ることは難しい。 最近では商品パッケージに生産者情報が載ってることも多くなったが、せいぜい分かるとしてもパッケージや値札についている産地情報ぐらいだろう。 この技術によりもっと細かい流通経路情報が分かるようになってくる。 どこで、誰が、どのような経路で、どこの会社が配送をして、どれくらいの時間をかけて届けられたものなのか。 特にスマホ等のデバイスが広く普及し、センサーの数が増えて商品情報をより細かく取得し蓄積できるようになったのも相まってミクロレベルでの情報の可視化が行える。 これだけでもすごいと思ったのだが、さらにすごいのが、このバーコード実は海藻で出来ているらしい。 技術的なことは詳しく書いてないが、原料が海藻なので食べられるし、味もしないとのこと。 エコの取組の一環で海藻が紙の代用になる話は聞いたことがあったが、バーコードまで作れることには驚いた。 またこの技術、データ管理の仕組みにブロックチェーンを活用することで、データベースの堅牢性も担保しているとのこと。まさに先端技術同士のコラボレーションである。 将来的には食中毒や牡蠣の食当たりもなくなるだろうし、食品業界のみならず医療業界といった他分野でも応用されることになるのではないか。 日本での実運用もそう遠くないだろう。 暗号通貨とブロックチェーンの先に見る世界 ―テクノロジーはどんな夢を見せてくれるのか