Amazon Freight 日本展開で運輸業界への黒船来襲となるか

前記事『Uber Freight 日本の物流業界への黒船来襲となるか』でUberの荷主とドライバーを繋げるプラットフォームサービスについて紹介しましたが、その後更に調べてみると、Amazonも同様のサービスを北米で展開していたことが明らかとなりましたので紹介です。
実はAmazonは、BtoB事業の強化を進めている
Amazonはネット通販のイメージが強いですが、実はAmazon Businessという法人向けのサービスも展開しています。
Amazon Businessは2015年に北米でリリースされ、その後世界各国へのサービス展開を進め、2017年9月には日本でサービスインしました。
Amazon Businessの初年度の売上高は$1 Billion(約1000億円)でしたが、その後も急速に成長を続け、2018年には$10 Billion(約1兆円)にまで急速に売上を伸ばしています。
消費者向けリテールビジネス、Amazon Web Serviceに次ぐ、第3の柱を「BtoB」領域で着々と進めています。
Amazon Freightの始動
Amazon Freightがリリースされたのは2018年です。
当初はベータ版としてリリースされ、サービスエリアもニューヨーク州、コネチカット州、メリーランド州、ニュージャージー州、ペンシルバニア州の北米5州の限定で試験的な運用を行っていましたが、2019年4月に正式リリースを発表しています。
北米の物流専門紙のFreight Wavesの発表によると、現行の輸送運賃の市場価格の26-33%下回る価格で提供してるようです。
Amazonは何を狙っているのか?
実はトラックドライバー不足は日本のみならず世界中で課題とされていて、Eコマースの台頭もあり需要と供給のバランスは崩れ、運賃は高騰しています。
これはあくまで推測ですが、Amazon Freightはアマゾン自身がトラックドライバーを自社で確保できるというメリットがありますし、Amazon Freightで稼いだ売上で物流コストの増加分を補填したいという狙いも考えます。
Amazon Freightの運賃は市場価格の「20%~30%」も安いのです。
恐らくですが、Amazon Freightから多くの利益を出すことは考えてないはずです。
つまり、Amazon Freightで「利益を稼ぐ」という発想ではなく、「コストを補填する」という戦略なのではないかということです。
これは同社が展開した余剰サーバーを安い値段での販売を始めたAWSと似たような構造なんですね。
日本への展開は?
2020年1月時点でAmazon Freightは日本に展開していません。
グローバル展開したという情報も現時点ではないです。
ただ、日本には既に荷主と運送企業を繋ぐサービスが幾つかありますし、Amazonがこうした先例から学び、日本に進出してくる可能性は十分あり得ると思います。
Amazon Businessがリリースされてのが2017年で、2019年には日本で展開を開始していることを考えると、2年~3年の時間軸で動いてくる可能性があります。
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Uber Freight 日本の物流業界への黒船来襲となるか
既に日本の運送業界では、荷主とドライバーをWebプラットフォーム上で直接繋げるシェアリングサービスは存在しています。 2016年頃あたりから「PickGo」や「ハコベル」といったベンチャー企業がサービスインし、直近では2019年6月に通信大手のDocomoが「ドコマップ」を始めました。 元々はフードデリバリーや配車といったBtoCを中心に始まったシェアリングサービスが、運輸業界でも徐々に広がりはじめ、そこに外資企業が参入し始めてきたという状況です。 Uber Freight、アメリカで始動 日本の運送市場の構造改革にいち早く目を付けたのが「Uber」です。 運営企業であるUberは、2020年初めの段階で時価総額6兆3500円、2018年売上高$11billion(11兆円)、対前年比プ+42%増、世界70か国にサービス展開するグローバルITメジャーです。 2017年、Uberはアメリカでトラックドライバーと荷主をマッチングするUber Freightを開始したことを発表しています。 海外進出を加速させるUber Freight 「Uber Freight」の公式採用サイトから求人募集を行っている地域を調べてみると、米国ではテキサス州、カリフォルニア州、イリノイ州で募集しています。 そしてUber Freightは実は欧州でも募集を行っていて、ポーランド、オランド、ドイツで募集をかけていることが分かります。 2017年にアメリカで始動したUber Freightですが、現在ではその展開国をヨーロッパとカナダに広げています。 またUberは2019年に「Uber Freight向けに全世界で200億円の投資を行い、2000人の採用を増やす」と発表しています。 「Uber」がフードデリバリーで世界中に進出したように、今後はUber Freightに関してもその展開国を広げていくことが想像できます。 日本への進出は? 2020年1月時点において、Uber Freightは日本に進出していません。 ただ、日本トラック協会によると日本のトラック輸送産業の市場規模は年間15兆円もあり、日本はポテンシャルとしては大きいです。 そしてそのうちの99%は中小企業という調査結果もあり、多対多を結びつけてより多くのトランザクションを発生させ利ザヤを稼ぐことを生業とするプラットフォームプレーヤーにとって、日本の運輸業界は非常にうま味のある市場だと考えているはずです。 今後日本に進出してくる可能性は極めて高いと考えています。 今後の動きに注視が必要! 日系の輸送マッチングサービスがサービスを開始した時は、「物流版Uber」として紹介されることも多かったですが、皮肉にもその本家であるUber参入の影が見え始めています。 個人的にはUber以外にも、今後中国のBATや、米系のGAFAといった超巨大IT企業もサービスインするのではないかなと考えています。 関連記事 人気の記事! ◎外資系物流社員がおすすめする物流書籍7冊 ◎サプライチェーンにおけるレジリエンスとは 何故必要なのか ◎実際に働いて分かった物流担当者におすすめの資格 ブログ管理人について 元々物流会社で勤務してました。今は外コン勤務です。 SCMに携わってもうすぐ10年。自分の学びも含め、世界の物流・サプライチェーンに関する情報収集・発信しています。 よろしくお願いします。 Follow @insight_eagle
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