実際に働いて分かった物流担当者におすすめの資格

物流といえど、その仕事内容や職種は多岐に渡りますので、それぞれが置かれた状況や役割によって求められるスキルや知識も異なります。

物流施設で働きたいのか、貨物の輸送に携わりたいのか、貿易実務に携わりたいのか、倉庫の設計がしたいのか等です。

 

また資格取得には労力も伴いますので、どうせ勉強するなら実務につながる資格を取りたいものです。

そこで、実際に物流業界で働く筆者が、実務を通じて役に立つと感じた物流/ロジスティクス関連の資格をピックアップしてみました。

1.通関士

通関士は物品の輸出・輸入時に必要な通関書類の作成や手続きを行う人のことです。

日本では通関業務は許可制となっていますので、営業所毎で通関士を設置する義務があったり、通関士が押印記名しなければならない書類が決められていたりと、通関士は通関事業者にとって無くてはならない存在です。

難関資格で合格へのハードルは高く、簡単には取得できない資格ですが、その分この道のプロとして安定的に活躍していくことも可能です。

ここ最近では「将来無くなる職業」に通関士が入っていたりと、通関士に対して悲観的な意見も見受けられますが、全くそんなことはなく、むしろ近年、FTAなどの貿易協定や関税の引き上げ施策等で貿易は益々複雑化していて、関税に関する知識の需要は上がっていくと見るべきです。

今後はAmazonやEBayといった国境を越えたEC取引(越境EC)が増加することを考えても、将来性も見込める資格だと考えます。

●試験頻度:年1回
●合格率:10~15%
●難易度:高
●想定される役職:関税コンサルタント、シッピングコーディネーター等
●教育給付対象:〇

 

 

2.運行管理者試験(貨物)

運行管理者試験は、貨物自動車の安全確保を目的とした国土交通大臣指定の実施機関が実施する検定制度です。

トラックドライバーの運転時間や休憩時間の管理、点呼の実施や運転者の疲労状況の確認、運行日報の保管といった運輸事業全体のマネジメントを担う仕事です。

こちらも必置資格に分類されていて、営業所毎で抱えるドライバーの人数に応じて、資格保有者を置くことが義務付けられています。

そうした背景もあって、資格保有者には資格手当が支給される場合もありますし、そもそも求人要件として資格保有者必須としている企業も多く、資格取得がキャリアアップに直結しやすいです。

合格率も30%台で、且つ試験は年2回のみですので、簡単に取れる資格ではないですがその分資格を保有する価値は相対的に高くなります。

●試験頻度:年2回
●合格率:30%~40%
●難易度:中
●想定される役職:倉庫オペレーションマネージャー等
●教育給付対象:〇

 

 

3.フォークリフト運転技能者

フォークリフト運転技能者は、最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転するために必要な資格です。

倉庫内でフォークリフトを運転し大型の荷物を運搬したり、トラックに積み込むことが仕事内容となります。

企業規模や業界に縛られず、倉庫施設であればどこでも活用されますし、誰にでも操縦出来るわけではないので、実オペレーションを回す上でのキーマンとなれます。

資格手当が出るので待遇も上がりますし、周囲からも必要とされるスキルでもあるのでやりがいを感じやすいですし、現場志向のひとであればおすすめの資格です。

一方合格率は90%越と、基本的には講習に参加すれば誰でも取得できてしまうような資格なので、ライバルも多くなります。

●試験頻度:月1回程度(初学者講習の場合)
●合格率:90%
●難易度:易
●想定される役職:物流倉庫担当者/マネージャー、出荷場エリアマネージャー
●教育給付対象:×

 

 

4.簿記検定

簿記は企業の様々な経営活動を帳簿に記録し、財務諸表等の報告書をまとめていくことです。

業界問わず様々な業界で活かせる資格なので、社会人に人気の高い資格の1つでもあります。

簿記というと、会計・経理職に求められるスキルだと思われがちですが、簿記を理解することで、経理事務に必要な会計知識だけでなく、企業の経営管理や財務分析としても活用可能な資格です。

物流は多大な設備投資や費用が発生するので、いつの時代も企業経営者の悩みの種となります。

製品の小ロット化が進み、コスト全体に占める物流費の割合が上がっていく中で、物流コストの分析・最適化人材へのニーズは高く、物流関係者にとっても重要なスキルです。

簿記検定は難易度順に簿記3級、2級、1級に分かれています。初学者はまずは3級や、余裕があれば2級とのダブル受験もおすすめです。

●試験頻度:年2回~3回
●合格率:30%~40%程度
●難易度:中
●想定される役職:物流コンサルタント、物流改善推進担当
●教育給付対象:〇

 

 

5.宅建

宅建は「宅地建物取引士」の略称で、土地や建物の売買、賃貸物件のあっせんなど、不動産業を営むのに必須の国家資格です。

一見物流とは無関係に思われるかもしれませんが、実は近年、物流企業が倉庫の賃貸借を仲介する「物流不動産ビジネス」が活発化していて、大手物流企業を中心に不動産ビジネスに事業展開する企業が増えてきています。

一般の不動産業者にとって倉庫や物流施設は不慣れであり、なかなか手が付けずらい領域で、EC市場の拡大により今後も物流施設の需要は伸びていくことを考えても、物流関係者にこそ狙い目の資格です。

大手企業だとイーソーコやSBSは既にこの領域に参入していますが、こうした状況を受け、実は筆者の会社でも物流不動産戦略部門が新設され、会社の重要戦略と位置付けられています。

●試験頻度:年1回
●合格率:10%~20%
●難易度:高
●想定される役職:物流不動産戦略、用地開発担当等
●教育給付対象:〇

 

 

以上です。

 

変化の激しい現代のグローバル社会において、「知識や経験は誰にも奪われない財産」であり、お金や時間を投資すべき領域は、知識や経験であると信じています。

今後安定的なキャリアを築いていくためには、常に知識やスキルを磨き、会社に必要とされる人材を目指すことが大事だと思います。

 

 

 

 

ブログ管理人について

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元々物流会社で勤務してました。今は外コン勤務です。
SCMに携わってもうすぐ10年。自分の学びも含め、世界の物流・サプライチェーンに関する情報収集・発信しています。
よろしくお願いします。

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